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新監督就任記者会見要約書
2024.12.20 news
いつもアビスパ福岡を応援いただきありがとうございます。
先日開催いたしました新監督就任記者会見を要約書としてまとめました。
また、クラブへ寄せられたその他のご意見やお問い合わせについても併せて記載しております。
長文ですがお時間のある際にご覧いただけましたら幸いです。
新監督就任記者会見要約書
日時:2024年12月16日 月曜日 14:00-15:30
場所:雁ノ巣レクリエーションセンター
出席者
・代表取締役会長 川森 敬史
・チーム強化部長 柳田 伸明
・新監督 金 明輝(きん みょんひ)
<川森会長>
来シーズンの監督としてアビスパ福岡の新監督として金明輝さんと正式に契約を締結いたしま したので、ここに改めてご報告をさせていただきます。
アビスパ福岡は来年30周年を迎えます。
この30年間、多くの皆様に支えられ成長してまいりましたことに心より御礼を申し上げます。
引き続き、市民クラブであるアビスパ福岡の基本理念を軸として、前監督が築いてくれたチームの一体感を持って、新たなメンバーと次のステップへ進む時期が来ていると思っております。
私たちはJ1上位争いを行い、優勝を目指せるチーム作りに向かって、来シーズンも全力で取り組んでまいります。
例年、新体制発表会は新年に行っておりますけれども、今回の就任にあたり1日でも早く監督選定の理由と今後目指すべきチーム作りなどをご説明したく、この会見を開催いたしました。
記者会見や公式YouTube配信につきましては、リリース文面に記載をすべきだったと思っております。また、リリース後も様々なお声をいただいておりますが、メディアの皆様からのご質問にお答えする形でお伝えできればと思います。
今回の就任にあたり、クラブとしては過去の過ちは決して容認できるものではありませんが、反省して再出発をしようとしている金明輝新監督を信じ、チームがさらに進化し一体感を持って次のステップを目指し挑戦していくことについて、来シーズン共に歩むことを決断いたしまし
た。
<柳田強化部長>
私からは新監督の選定理由について、フットボールの観点から3つのポイントをお伝えさせていただければと思っております。
まず1つ目のポイントですが、前監督が5年間でアビスパの攻守にアグレッシブなスタイルを築いていただいたと思っております。そのスタイルを継続し、さらに進化させる方として、新監督を招聘することになりました。金監督はこれまでの指導実績においても、このアビスパスタイルを進化させることができる力のある方だと評価しています。
2つ目ですが、攻撃のオートマチズムを構築することができる方だと思っております。チームが一体となってボールに関わりながらゴールを目指す。試合の中で数多くそんなシーンを作りだしてくれることを期待しています。
3つ目は、選手の力を最大限に引き出せる方であるという点です。すでにトップチームで若い人材を育て、外に輩出するということも今までされてきたと思います。アビスパにもこれから入ってくる選手がいますが、チーム全体また若い選手を育てていただきながら、チームの底上げに貢献していただきたいと思っております。
以上が3つの選定のポイントになりますが、来年以降、チームが目指しているJ1リーグ中位、さらには上位、カップ戦でも2回目のタイトルを目指して戦っていきたいと考えておりますので、皆様のご支援のほどよろしくお願いいたします。
<金監督>
本日はお忙しい中、たくさんの方にご出席いただきありがとうございます。私の就任に関して、騒がせてしまったことに関して、申し訳なく思っております。クラブ創設30周年という節目の年に、この伝統と実績のあるアビスパ福岡の監督に就任させていただくことに、本当に嬉しく思うと同時に、重責を感じております。
本当に様々な意見を私自身、見聞きしながら、重々真摯に受け止め、選手、チームとの一体感、クラブとの一体感を大事にしながら、選手やスタッフをリスペクトしながら、より強いチーム、前監督が築き上げたチームにより良いものを上乗せして、チームを構築してJ1の上位で戦っていけるよう精進していきたいと思っております。
■質疑応答
Q.オファーを受けたタイミングは町田ゼルビアでヘッドコーチをされていた時期かと思いますが、その時のお気持ちはどうだったのでしょうか?
<金監督>
タイミングに関しては、来季のチーム編成が可能な時期ということでご理解いただければと思います。オファーを受けた時、当然驚きとともに嬉しく思いました。ただ、私も長くライバルクラブで指揮を執っていた中で、アビスパ福岡との対戦もたくさん経験しました。この数年でクラブが築き上げた立ち位置、実績、ブランドすべてのものが大きく変わってきているなという印象
を受けていました。
Q.監督として指導するのは4シーズンぶりとなります。改めてどういった覚悟ですか。
<金監督>
監督としての復帰は4シーズンぶりという形になります。自分が指導していたタイミングで、そのような行為が認定され、自分自身の過ちはしっかりと受け止めております。その過程で、JFAのプログラムや研修を受け、町田での2年間があると考えていますし、監督への復帰ということで、当然先ほど冒頭にも話したように、様々な意見や色んな人の見方があるのも重々承知しています。そのような意見も真摯に受け止めて、これからの言動でしっかりと信頼を少しずつ取り戻していければなというところです。選手たちもその中でしっかりとチームに残ってくれたり、新しく来てくださる選手もいらっしゃるので、そのような選手たちと一体感を持って、より強い
チームを作っていきたいと考えます。
Q,2022年のタイミングでは中学生・高校生年代への指導、そして町田でヘッドコーチとして2
シーズン携わりましたが、その中でご自身の指導スタンスや声がけに変化はありましたか?
<金監督>
基本的には、やはりサッカーに対する情熱や関わりは、僕自身強い責任感と覚悟を持って取り組んできたと自分自身思っております。ただ、以前は勝利至上主義というか、勝つことへの執着が強すぎるあまり、自分を見失ってしまっていた部分も正直あったと考えております。
この3年間、様々な学びや取り組み、そして町田での2年間を通じて、特別に指導スタイルを変えたというわけではありませんが、選手との会話や配慮、そういったものを大事にしなければならないと強く感じました。チームとしての上積み信頼がなければ、強い組織は作れないと考えています。
Q.過去の問題があったという部分についてはご存知の上で、それでもやはり金監督にこのチームを託したいという強い思いがあったのかと思います。その決断の理由についてお聞かせいただけますか?
<柳田強化部長>
金監督も先ほどお話はされましたが、過去のことに関しては反省されております。また、JFAの研修プログラムやそれ以降の社会貢献活動、そしてその後S級ライセンスを取得され、町田での2年間、その過程において様々な関係者の方々にもお話を伺う中で、金監督が非常にその姿勢が素晴らしかったということでお話を伺ってまいりました。
そんな中で、我々がクラブとして目指すロードマップ、そこを達成していく上で、また指導者として力のある金さんに、我々が思っているロードマップを押し上げていただきたいという思いから、オファーをさせていただいたというのが経緯になります。
Q.強化部の進言を受けて、クラブとして最終的に決定をされたその背景、どう受け止めて決定されたのでしょうか?今回の監督就任に至った経緯と選考プロセスと共にお答えできればと思います。
<川森会長>
前監督の退任の意向を受けまして、強化部で新監督の候補をリストアップいたしました。これは先程来、柳田強化部長がお話しさせていただいております、私どものこれからさらに進化するポイントを突いたリストアップでございます。
監督人事自体は取締役会事項となっております。アビスパ福岡はルールに則って、そこから進んでいくわけですが、守秘事項の観点から取締役会企業様、ほぼ皆様スポンサーでございますけれども、また株主様でもございます、そういった方々に事前にご相談できる範囲で、新監督候補の反省の姿勢と実績についてご説明し、ご意見を求めました。
クラブのバジェットとコンプライアンスの観点で、執行メンバーが責任を全うする体制を説明し、理解を得た上で、本日の就任会見という形になっております。
Q.新監督の就任に先行して、先月の上旬でしたけれども、一部報道がありました。その際にも多くの意見やコメントがあったということですが、そうした声はどのように受け止めていらっしゃいましたか?
<川森会長>
新監督の報道が出たタイミングは、当時クラブとして新体制について発表していることはございませんでしたので、目の前の試合に集中してもらえるようご案内をさせていただきました。一部のスポンサー様にご迷惑をおかけし申し訳なく思っております。
新監督候補に関しまして、当時ネガティブなコメントが目立ちました。私どももそういったものは一定の予想はしておりました。シーズン終了後、新監督発表の際に、記者会見等を通じて皆様に選考プロセスと選考理由、今後の対応についてご説明し、ご理解をいただけるよう取り組もうと考えておりました。
当然、過去の問題については決して容認されるものではないとクラブとしては認識しております。この過去の問題に対してクラブとしてどう捉えているかという点に関しましても、過去の事実は変えることはできませんが、新体制に対してご懸念をいただいている皆様に対し、今後どのようにクラブへの信頼を持っていただけるかが大事だと考えております。
クラブとして金新監督にチームがさらに成長する指導を期待しておりますが、再出発の意思を固めた金さんと向き合い、共に進んでいきたいと考えました。
クラブのイメージやスポンサーへの影響についての声も、その時いただきました。私どもはその点も熟慮した上での決定でございます。過去の問題に関して懸念を抱いている方々の声も真摯に受け止め、クラブとして金新監督とともに、これからの取り組みで懸念を抱いている皆様の信頼を回復し、行動でお示しし、ご理解をいただけるよう取り組んでいきたいと考えております。
Q.2021年の年末に公表された調査報告書の中では、サガン鳥栖のクラブとしての指導体制の不備について強く調査委員会が非難しています。また、選手への聞き取りの中では、「金督のエネルギーが強くなりすぎた時にはフロントにコントロールをしてほしかった」というコメントもありました。金監督が二度とパワハラをしないというのはもちろん、クラブとしても二度とさせないための体制作りが必要かと思いますが、クラブ側としての体制作りや施策について何かお考えはありますでしょうか?
<川森会長>
いくつか大事なご質問のポイントがありましたので、ひとつずつお答えしたいと思います。
まず、私どもの基本理念は決して変わることはございません。今回も、当然これからも、それを
軸に経営をさせていただきます。監督自身が過去をしっかりと反省し、努力を重ねてきておりま
す。そして、過去の間違いを乗り越える過程もまた、子どもたちにとって大切な学びや刺激にな
ると信じております。チームスポーツであるサッカーを通じて、チーム全体が新たなことに挑戦
し、前進し続ける姿勢を子どもたちに見てもらい、何かを感じてもらうことも大事なことかなと
確信しております。
監督候補を変更しようとは思わなかったのか、というご質問もいただきましたけれども、私ども は新監督の過去の問題に対しての反省の姿勢、JFA研修プログラムの受講内容と、その姿勢、 また関係者へのヒアリング、昨シーズンから所属しておりましたチームでの指導姿勢と実績、そ の他様々な調査の内容から、変更はいたしませんでした。
また、選考プロセスにおいて金監督に対してクラブのビジョンや考え方、コンプライアンスなど、 クラブが大事にしている基本理念を直接説明しました。金監督自身、過去の不適切な行為を深 く反省し、このクラブで監督職への復帰に向けて強い意思を持っていただきました。そのことを 新監督就任の発表後、記者会見等を通じてご懸念をいただいている皆様、応援していただいて いる皆様にご説明させていただく機会を設け、ご理解をいただければと考えておりました。
一方で、企業としては常にコンプライアンスリスクを抱えていると認識しております。コンプライ
アンスの問題が発生した場合には迅速かつ厳正に対応する方針に何も変わりはございません。
また、特にパワーハラスメントが起きないよう、権限の集中や過度な責任追求ではなく、クラブ
に所属する誰もが自らのミッションを遂行する上で業務に集中できる環境に向けて、体系的に
取り組んでいきたいと思っております。また、コンプライアンス研修などは毎年定期的に開催を
しております。
さらに付け加えますと、弁護士事務所を窓口とした外部通報制度を私どもは2020年にすでに 導入しております。職員はもちろん、トップチーム所属の皆さんも利用できる制度となっており ます。チーム内の体制につきましては、従来より強化部長が行っている活動をこれからも継続す ることによって、そういった問題の再発、もしくはそういった問題が起きないような体制を維持 できるのではないかと考えております。
<柳田強化部長>
私もしくは強化部の仕事は、練習、ミーティング、または遠征の際に、この5年間ずっとそうです
が常にチームに帯同しそこで監督やスタッフ、それから選手とコミュニケーションを取りながら、
何か問題になりそうだと思うことがあれば、その都度素早く対応してきたと思っております。
先ほどのお話に関連しますが、今までやってきたことをしっかりと、またそれ以上の意識で行っ ていくということが重要ではないかと思っております。
<川森会長>
適切にチームを指導できるよう、またチーム全体が健全な環境で活動できるよう取り組んでま
いりたいと思っております。従来より監督との定期的な面談を行ったり、ランダムに選手とのコ
ミュニケーションを取ったりして、監督の状況やチーム内の雰囲気を把握するように、強化部、特
に柳田部長は務めております。
また、コンプライアンスの問題が起きる背景には、そのような行動を引き起こさせる環境も影響 していると考えております。そのため、定期的なコミュニケーションとチェックを行い、問題があ れば迅速に経営陣に報告し、対応できる体制を維持していきたいと考えております。
Q.今日のこの会見は急遽ライブ配信も行っており、先ほどチェックしましたら平日の昼間です
が、3,000人ほどの方がご覧になられています。お仕事や授業でリアルタイムで見られない
方も、夜にアーカイブで見られる方がたくさんいらっしゃるかと思います。ファンやサポー
ターの中には、「基本理念――子どもたちに夢と感動を、地域に誇りと活力を――」という部
分が本当に守られ、私たちの誇れる「俺たちの街・福岡のチーム」でいてくれるのか心配され
る方もいらっしゃるのではないかと思います。改めて、この基本理念への思いを最後にお聞
かせいただけますか?
<川森会長>
私どもは市民クラブでございますので、子どもたちに夢と感動を、地域に誇りと活力を、与える
側の責務として、当然、コンプライアンスを守ることは前提での話しでございます。そして、問題
が起きないようにすることもクラブ、企業としてのひとつの責任だと考えております。その考え
は変わりませんし、今後もしっかり対応してまいりたいと思っております。
選手を含め過去の過ちを犯してしまった場合でも、その後の対応と、そこに関わった周囲の皆
さん、更生プログラムに関わった皆さんのご評価、本人の考えを見たときに、もう一度チャンス
をもらって、再出発する勇気や力はとても大事なことだと思っております。
子どもたちも、保護者の皆様も、私たちアビスパ福岡を応援していただいている多くの方がいらっしゃいます。その観点から、私どもの理念は決して変わりません。さらに深みを持ち、新たな視点でお伝えできるようにしていきたいと考えております。
Q.「長谷部監督が築き上げたサッカーをベースに、守備・攻撃両面でさらなる強化を図りたい」とコメントされていましたが、どういった特徴のあるサッカーを展開していきたいとお考えでしょうか?
<金監督>
我々アビスパ福岡、僕が目指すサッカーに関しては、基本的にはやはりアビスパが近年築いてきた強固な守備、J1で総失点は4番目でしたか、38失点。そのベースはしっかりと保ちつつ、攻撃力ですね。皆さんご存知の通り、得点力に関してはJ1で1番少なかったと認識しております。その部分をしっかりと引き上げ、攻守両面でバランスよく戦うこと。リアクションではなく、アクションですね。守備でも攻撃でもアクション、自分たちから行動を起こしていく。そのようなサッカ
ーを目指したいと思っています。相手ゴール前に関わるシーンをたくさん見せていければと考
えております。
Q.目標順位についてはいかがでしょうか?
<金監督>
すみません、目標に関しては新体制発表会の時に改めてお伝えさせてもらえればと考えております。
Q.強化部長からも「攻撃面の強化」が選定理由の1つに挙げられていましたけれども、そのアビ スパの攻撃面の課題についてはどうお考えでしょうか?
<金監督>
課題があるという表現ではなくて、やはりまず守備、しっかりと守ってから攻撃のチャンスをつくり、勝利していくというのが僕のアビスパのイメージだと思います。当然、守備で失点しないチームが上位に行くのは、今年もJリーグを見ていて分かる通りですので、失点をしないというこ
とは非常に重要なファクターになります。そこはおろそかにするつもりはありません。その部分をしっかりと継続しながら、攻撃の時には思い切って、守備がベースにあるからこそ攻撃が少しおろそかになることもありますが、そこは担保しつつ、攻撃でも迫力を持って、人がたくさん関わり、追い越すような、そういった思い切りのいいサッカーをしっかり表現したいと思います。
何度も言いますが、攻撃的にチームを構築していきたいとは話しておりますが、守備をおろそかにするつもりはありません。その辺のバランスをしっかりと見ながら、チーム作りをしていきたいと考えています。
Q.チームとしては、サガン鳥栖を率いられていた時のサッカーに近いのか、それとも町田ゼルビアでの2シーズンの戦いに近いのか?当然選手も違いますけれども、どういったイメージを持っているのでしょうか?
<金監督>
サッカーも時代やトレンドがめまぐるしく進化していくので、どちらかと言われると「どちらでもない」のかなと思っております。縦に速い攻撃も当然、今のサッカーでは必須ですし、その中で相手コートでボールを動かして崩す、得点チャンスを増やす、そういった部分も必要です。どちらかと言えばどちらでもない、アビスパ福岡の新しいスタイルを構築したいと思います。
Q.アビスパ福岡は堅守速攻で、長谷部前監督も1-0で勝つところを、なんとか複数得点を取るという目標はなかなか叶いませんでした。目標順位とともに、目標の得点数は新体制発表会でお伝えいただけるのでしょうか?
<金監督>
そうですね。その際にしっかりとお伝えできればと考えております。
Q.ご自身が志向されるサッカーの中で大事な要素として、選手たちにまず何を浸透させたいとお考えでしょうか?
<金監督>
選手たちが主体的に、能動的にボールを前進させる。守備においても、強くアクションを強く目 指していきたいと思っています。奪いに行き、襲いかかるような。そこも含めて、チームで一体 感を持って進んでいってほしいと考えております。また、細かいことになりますが、ボールを保持することにこだわりながら、ボール保持の時間を増やし、相手コートでプレーする時間を強く掲げ、トレーニングを含めて表現していければと考えております。
Q.シーズンが開幕するのは早いですが、オフシーズンを経て年明けからキャンプ、新シーズンに臨まれるかと思います。まず取り掛かりたいこと、選手たちに最初に伝えたいことは何でしょうか?
<金監督>
個人的な願望としては、やはり選手たちがストレスなく新シーズンを迎えること、それに尽きます。僕の件で選手たちも不安に思うところが多くあると思いますので、そのようなものを少しでも解消し、選手たちが純粋にサッカーを楽しみ、勝利を求める、そういう環境で新しいシーズンを迎えてもらえればと思っています。
同時に、前監督が長くチームを率いてきたので、新しいスタイルになることで、トレーニングの流れや内容も変わると思います。そういった部分を全体で歩幅を合わせながら、しっかりとチーム作りをしていきたいと思っております。
Q.鳥栖にいらっしゃいましたので、非常に近い位置にある福岡についてはご存知の部分も多いかと思いますが、実際に来てみて福岡の町の印象はいかがでしょうか?
<金監督>
鳥栖も近かったこともありまして、町に関してはよく来たりもしていたので、何年ぶりでしょう か…3年ぶりですかね。はい、来ました。ただ正直、クラブハウスにしか今は来ていないので、町の変化とかはあまりわからないですが、なんて言うんですかね、少し落ち着きというか、慣れた感じはあります。初めての場所ではないな、という雰囲気は感じております。
Q.先日はリーグから開幕戦の相手も発表されました。本格的に考えるのはシーズン直前かと思いますが、開幕戦に向けてのイメージ、今の段階で感じていることはいかがでしょうか?
<金監督>
柏レイソルさんと当たるということは決まっております。本当に開幕戦はすごく大事なゲームだと思っています。ホームで開幕できること、やはり新しいアビスパを表現すること、そして勝利すること、ここに尽きると思っています。しっかりとスタートダッシュを切れるように、良い準備をしたいと思います。
Q.先ほどのプロセスで金監督を選ばれたという点については納得いたしました。ただ1つ、これは私もそうですしファンやサポーターもそうだと思うのですが、何人かリストアップして選考をされた中で、「金監督でなければいけなかった理由」はどこにあったのでしょうか?
<川森会長>
リストアップをしても、それぞれの候補の方にはやはりタイミングですとか、様々な条件がございます。また、タイプも違います。その中で強化部、そして関係者の皆さんと話し合いを重ねた中で、金監督が最終的に適任だと考え、選考を行いました。そのように理解していただければと思います。
Q.アビスパのサポーターや関係者も当時のことについて非常に関心を持っており、かなり詳しい情報を知っている方も多いと思います。再起を果たすことを応援したいという人もいらっしゃいますし、それは十分理解できます。しかし一方で、当時の関係者やそうでない方が、事
実かどうかは別として、また様々な話が飛び交い、金監督にも誹謗中傷が及び、クラブにも誹謗中傷が向けられる、そういう危険性もたくさんあると思います。そういったことに対して、例えば監督を守る、あるいはクラブを守るという点では、どのようにお考えでしょうか?
<川森会長>
まずは、これからの言動、あとはクラブの取り組みを見ていただくことが、すごく大事かなと思っております。従来から、新監督になったからこうする、というわけではなく、企業としてクラブとして、そういった問題が起きないように、特に柳田強化部長体制の中では、そういう体制をしっかりと敷いております。 ※クラブとしての体制は他の質問にて回答しています。
当時の関係者の方、物理的な距離も近いので、そういったことが耳に入ったり、目にしたりする方もいらっしゃると思いますが、金監督が新天地で過去を反省し、一定のプログラムを経て、周りの方々の協力を得て、こういった場面で仕事をしているということを何か感じていただけるなら、大変嬉しいと思います。
ただ、これは想像の域でしかありませんので、私たちはこれからの取り組みの中でしっかりと金監督が歩んでいること、そしてクラブも理念に基づいて歩んでいることを知っていただく活動を愚直に継続していくしかないのかな、と考えております。
Q.町田を退任される時のコメントに、「黒田監督から“サッカー界にもう一度挑戦することが今やるべきことではないか”という言葉に背中を押されて頑張ってきた」というお話がありました。いろんな形で再生の仕方があると思うのですが、サッカー界でもう一度やることが過去のご自身の行ったことに対する反省や変わるきっかけになると考えたのは、どういう理由だったのでしょうか?
<金監督>
やはり過去は変えられないという思いは自分の中でも今もありますし、その時の事象に対して傷ついた方々がいることも十々理解しております。
一方で、僕にはサッカーしかなかったというのも正直なところです。2022年から一定期間サッカーから離れ、研修プログラムを受けたり、あらゆることに取り組む中で、やはりもう一度サッカーの指導者としてやってみたいという思いが再燃しました。
当然、その際にいろんな思い、葛藤もありましたし、最終的には深く考えた上での決断だと思っています。サッカーへの思い、そういったものが突き動かしたと同時に、自分が変わっていく姿を見せること、そして選手たちの価値を高め、チームの一員として勝たせ、躍動させることができるのであれば、そのチャンスをいただけるならと思い、町田ゼルビアで指導者としてサポートさせていただくことを決断しました。
Q.福岡は非常に鳥栖と近い場所で、当時の関係者もたくさんいらっしゃる中で、こういう背景がある中でオファーを受けるには、いろいろな思いが監督の中にもあったと思います。最終的にどんなところで受諾を決断されたのでしょうか?
<金監督>
そうですね。本当にそこに関しては、ここにいらっしゃる方々よりも、自分自身が一番理解しているつもりです。ただ、アビスパ福岡が先ほど皆さんも話されていた基本理念、地域の目標、子どもたちに夢を与えること、そういったものをお聞きした時に、そこに貢献できるものがあるのならば、次のステップとして進んでいくべきだと感じました。
それは、単なる社会貢献活動という意味ではなく、クラブが結果を出すこと、選手たちが躍動すること、そしてプラスアルファとして地域や社会貢献活動に取り組むこと、そういったものをしっかりとやり遂げることで、少しずつ認められるのではないかと思っています。
それを望んでやるわけではありませんが、チームの顔として、僕の言動が様々な方に影響を与えると思っています。そういった責任と自覚を持って再びスタートを切らせてもらう。このチームだと考えました。強化部や川森会長、たくさんの方々とお話しさせていただき、そういった部分に共感し、決断をさせていただいたという経緯があります。
Q.過去の件についてですが、当時の被害者の方に対して例えば直接謝罪をされるとか、何か具体的な対応をされたということはあるのでしょうか?先ほどお話を聞いている中で、鳥栖時代の被害者の方について語られないまま、ここまで話が進んでいるように思います。まず金監督に伺いたいのですが、被害者の方に例えば直接謝罪をされるとか、何か具体的な対応をされたということはあるのでしょうか?
<金監督>
基本的に当時のことで、匿名性があるため、被害者本人が話したのか、それとも第三者が話したのかということが僕自身も分からない状況です。匿名性がある中で、被害者個人を特定して直接謝罪することはなかなか難しいというのが現状です。個人に対しての具体的な対応はできておりません。
Q.匿名性があるということでしたが、言い方はあれですが、状況を考えればお分かりになるのではないでしょうか?
<川森会長>
すみません、これは釈明会見ではございませんので…。クラブとしての認識をお伝えしますと、当時、過ちを犯してしまったクラブを通じて謝罪を行いました。Jリーグ、JFAもそのように認識しております。私どもとしてはそれでご理解をいただければと思います。
Q.今、川森会長がおっしゃった選定理由の中で、「反省の姿勢が見られた」ということと、関係者の方へのヒアリングを行ったというお話がありましたが、その「反省の姿勢」というのは、監督ご本人と直接お話をされて感じたものなのでしょうか?
<川森会長>
もちろん監督本人とのお話もそうですし、実際にプログラムに関わった方々…固有名詞は控えさせていただきますけれども、当時関わった方やプログラムに関わった方、また今年のチームで一緒に仕事をしている方々、そういった第三者の声も聞きつつ、本人の声も伺った中で、私ども
としてそのように判断をいたしました。
Q.シーズンが終わって、選手と話す機会がありました。この時期なので、契約更新だったり、他
のチームへの移籍のニュースが出てくるタイミングでもありますが、選手に話を聞くと、「ア
ビスパで来年金監督がいらっしゃることで、今やっているサッカーからより魅力的なサッカーになると思い、本当に楽しみだ」と話してくれた選手もいました。今回の金監督就任につ
いて、選手たちの反応を強化部としてどのように受け止めていらっしゃいますか?
<柳田強化部長>
お話しいただいたように、そのような意見も多数あります。ただ、1つお話しさせていただくと、チーム作りというのは「ストーリー」だと思っています。前監督が5年間かけて築き上げたものの上積みとして、今度は金監督が来て、より「攻撃的」と言ったらシンプルな表現かもしれませんが、そこにさらに上乗せをして、グレードアップさせていくということになります。
選手のコメントについてですが、おそらく金監督が鳥栖時代に指導されていた時の印象や、隣のチームとして対戦した時の印象、あるいは他クラブで対戦した試合を見て、「素晴らしいチームだな」と感じた記憶から、そのようなコメントになっているのではないかと思います。
また、先ほど「町田」や「鳥栖」という話がありましたが、私のイメージとしては、鳥栖で指導されていた時のサッカースタイルに近いのかなと感じています。当然、ブラッシュアップもされていますので、いろいろな要素が上乗せされていくことになると思います。
そのような話も既存の選手や新規の選手を獲得する際に伝えていますし「非常に楽しみだ」「自分もそのサッカーに関わっていきたい」「貢献していきたい」という声を選手から聞いています。
そして、アビスパ福岡がこの5年間で見られ方がすごく変わってきていることも感じています。
これは非常に価値のあることだと思いますし、今日のリリースにもありましたが、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。他のクラブの中心で活躍している選手が新天地として福岡を選んでくれたことが1つの証明だと思います。そういった意味で、みんなが非常に前向きに感じているのではないかと考えています。
Q.それから金監督にお話を伺います。よろしくお願いします。あの、監督ではなくて町田でヘッドコーチをされていました。その補佐役というか右腕役というか、一歩引くサポートする役割を担って、改めてどんなことを感じて、どんなことが勉強になったのか、どんな時間だったのでしょうか?
<金監督>
昨年はJ2、J1、2つのカテゴリーで活動、リーグが違うとチームの持っていき方、チーム作りも少し変わってくる部分がありました。昇格を目指して純粋に優勝を狙っていった昨年と、今年に関しては目標が町田では5位だったので、5位以内を取るためのアプローチ、そのアプローチを黒田監督がされている姿を自分自身も見ながら、学ぶべき点も多かったと思います。
役割としてはトレーニングも含めて、監督に積極的にアイデアを出したり、助言という表現はおこがましいと思いますが、進言といいますかそういったものも受け入れてもらいながら、本当に良い時間を過ごさせていただいたと思います。また、監督ではなくコーチとしての役割として、選手と監督をつなぐ役割や、コーチングスタッフを一体にまとめる役割を担い、その中で監督には見えない部分が多数存在するのだなと感じました。
やはり監督をしていると、試合に集中したり目の前のことに追われてしまうことが多くなります。その意味でもコーチとしての2年間は視野を広げる時間になりましたし、どうすればより良い形で試合に臨めるのかを考える時間にもなりました。そういった意味でも、自分自身にとっ
て、非常に濃密な2年間を町田で過ごさせていただいたと感じています。
Q.金監督は、鳥栖ですとか町田でも指導されていましたが、振り返ると選手たちの豊富な運動量や強度の高さが特徴だったのかなという風に思っています。そのあたりは引き続き選手たちに求めていきたいところなんでしょうか?
<金監督>
そこに関しては変わらずしっかりと求めていきたいと思っています。現在のサッカーで上位を占めているチーム、今年のJリーグもそうですが、やはりハードワーク、しっかりとした戦いのベース、ボール保持以外の部分での特徴があるチームが上位に行けると感じています。
切り替えが早かったり、ボール保持のところでも縦に早い攻撃を仕掛けるなど、そういった運動量や活動量がなければJ1では上位に行けないと思っています。しっかりとそういったものも同時に求めていけたらと考えています。
Q.監督に1点だけお伺いさせてください。先ほど、再度指導者として活動するということについてのお話を聞かせていただいたかと思うんですけれども、A級からさらにS級のライセンスを取得されて、Jリーグで監督を務めるというところにこだわられた理由を教えていただ
けないでしょうか。
<金監督>
やはりS級を取得する上で、「取りたい」と言って取れるものでもないのは皆さんご存知だと思います。その限られた中に、まず監督をする上でしっかりと選定してもらい、ライセンスを受けたという中で、降級してしまったという責任もすごく感じておりました。
そしてJFAを含め、様々なところでそういった活動をしていく中で、指導者として「再度監督をしたい」というよりも「学びたい」という気持ちが強くありました。もう一度指導をする上で、S級の講習会には様々な指導者との交流や、様々なプログラム、当然コーチングスタッフも含めて指 導法を含めたくさんの学びがありました。
そういったものを再度学び直したかったというのが、まず1つ強くありました。そして僕自身、このようなタイミングで監督の話をいただけるという認識も持っておりませんでした。ですので、お話をいただいた際に悩んだのも、その1つの理由としては「驚いた」という部分もありました。
Q.会見の中で「一体感が大切だ」とおっしゃっていましたが、再生プログラムや町田での活動を通じて、どういう形でそれを学び、どういう風に取り組んできたのかを教えてください。
<金監督>
鳥栖時代に一体感を意識せずに指導していたわけではなく、チームを構築する上で一体感が大事だということは強く感じていました。ただ、やはり配慮に欠けた行動があったと認識しています。そして再生プログラムや町田での活動を経て、その試合に出ている選手、出ていない選手、それぞれプロなので、その思惑が変わってきたりもする中で、やはりそういった選手たちが他方向に向かないように、1つの方向に向くためには、やはりチームとしての一体感が必要だと思っています。言葉で言えば簡単ですけども、多岐にわたるものだと思っています。当然、コーチの役目も大きいと思いますし、監督のチームの持っていき方やチーム編成、チームを構築する上で、適切なタイミングでの声かけも必要です。そういった一体感を、町田では感じておりました。言語化していければいいんですけれども、本当に、日々のトレーニングの中で競争があったり、そういったものも一体感として捉えています。そして、そうした中でしっかりとチーム内での競
争もまた一体感だと感じております。そういった中で、自分自身、町田が昨年と今年と、しっかりと上位でフィニッシュできたということも、そういった一体感につながっているのかなと思います。そういった部分と、アビスパ福岡が大事にしている「一体感」というものを、しっかりと引き継いで、またチームを作っていきたいなと考えております。
Q.その中で確認ですが、指導の厳しさと配慮の折り合いというのは、ご自身の中でどのようにバランスを取っていらっしゃるのでしょうか?
<金監督>
本当に、おっしゃる通りで、そういった厳しさというのは、言葉だけで伝えるものではないなと感じております。チームの雰囲気や競争を促すことで、おのずとそういう厳しい競争が生まれるでしょうし、やはりサッカーの勝敗を分けるポイントとしては、際のところ、やはり一歩だったり半歩だったり、そういったものが勝敗を大きく分けるので、そのようなこだわりをしっかりと持ちつつも、一方通行にならないように、選手たちの息遣いや呼吸、選手たちの温度感をしっかりと見定めながら、アプローチをしていけたらなと考えております。
Q,「オートマチズムな攻撃の構築」というものをおっしゃっていました。言葉だけを取ると強制性があるような印象を受けますが、実際にはどういうふうなアプローチで、そういうオートマチックな攻撃を作っていくのでしょうか。
<金監督>
冒頭にもお話したように、選手はピッチ内で自発的に能動的に判断してプレーできることが、僕の理想だと今考えております。その中で、最低限のやはり決め事だったり、ポジショニングだったり、そういったものを「オートマチック」と表現することも多くあるので、それは強制的で一方通行のようなアプローチになるかというと、そこは本当に鳥栖時代からも、そういう制約はなくて、やはり試合の中で相手もその対策や対応をしてくるので、その都度しっかり選手が見極めて、いろいろ判断を変えたり、やるべきことをしっかりとチームで共有できるような、そういうチーム作りが理想というか、目標であります。
Q.最後に、クラブが掲げる「感動と勝ちにこだわる」というスローガンですが、結果を求めることでの信頼回復は伺いましたが、勝ちへの取り組み以外の結果にこだわらない部分での感動を与える方法はどう考えていますか?
<金監督>
やはり、僕もよくテレビだったりスタンドからサッカーを見ることもあるんですけども、僕がこう心を打たれるというか、「あ、すごいな」と思う時って、やはり選手が攻守の切り替えが早くて、本当に素早く切り替えができたり、チームの誰かのカバーに回ったりとか、そういう技術的なボールの扱いという部分とは別に、献身性というか、本当に犠牲心を持ってチームのために戦っている、走っている、そして走り切っている、そういうチームでありたいなという部分も、強く思っております。
なので、当然「勝利しないと勝ちというのは示せない」ということも十々理解していますし、その中で、攻撃として攻撃的に相手へのシュート数をたくさん増やす、そういったものも大事にしつつ、やはり見ている人たちの心が揺さぶられるような、そういったサッカー、ゲームを、見に来たお客様に見せられるように、しっかりとチームを作っていけたらなと思っております。
Q.リリースに合わせてコーチングスタッフの新体制というところも発表されました。その中には、金監督と一緒に鳥栖時代に仕事をされた桑原さんも入られた一方で、塚原さんがヘッドコーチとして残りました。ここの新体制の意図ということを伺いたいんですけど、どういった
狙いでこのような新体制を組まれたのかというのをお聞かせください。
<柳田強化部長>
それぞれのスタッフは金監督と接点があります。塚原ヘッドコーチに関しては、S級ライセンスの同級生ということで、非常にサッカーの価値観、それ以外の価値観、人間関係も含めてですね、とても良い関係だと思っています。また、鳥栖から今度こちらに入られたフィジカルコーチであ
ったり、桑原さんに関しても鳥栖時代に金監督と一緒に仕事をされていました。監督に就任されて、自分のフィロソフィーを浸透させる上で最も大事なのは、やはりそのスタッフが自分の思ったことを、自分の代わりに選手に伝えていくことだと思います。監督が変わるということですから、それをより早く浸透させるために、このような体制になっています。
Q.この新体制を拝見した時に、監督に意見を言えるコーチ陣という意図もあったのかなと思うんですが、そこはどういう狙いなのでしょうか?
<柳田部長>
はい、まさにその通りです。みんな意見をしっかりと言えるスタッフですし、その点も重要だと思っています。
Q.今回の件について一定の想定はされていたとおっしゃっていましたが、ここまでの事態になるという想定はされていたのでしょうか?
<川森会長>
SNS上のことと、私自身が対面するファン、サポーターの方、スポンサーの方、だいぶ反応が違います。その中で、SNS上はどうしてもネガティブなものが今回の件に限らず大半を占めます。これは匿名性が高いツールであるというのも一因だと思います。そういう意味で、私どもが真摯に受け止めるひとつの声として受け止めています。
また、クラブとしてそれを表明する機会は、やはりリリースのタイミングが相手チームもあることですから、発表が金曜日になりました。そして、翌日は先方のクラブでファン感謝デーがあり、今日になっております。このように皆様にお伝えする機会が今までなかったので、悶々とした時間が発生してしまったことに関しては申し訳なく思っています。
今後、今日の記者会見を通じてリアルタイムで皆様に見ていただき、アーカイブでもご覧いただけるように準備しております。また、クラブにお寄せいただいたいろいろな問い合わせや懸念についても、文章でまとめてQ&Aの形で公開させていただこうと考えています。その上で皆様にご判断をいただき、ご懸念が解消されればと思っております。
※批判を想定していたか否かは会見冒頭の回答でご確認ください。
Q.今シーズン、J1で観客動員数が一番少なかったという現状について、来シーズンは金監督のサッカーを通じてどのように観客を増やしていきたいとお考えでしょうか。
<川森会長>
前監督には本当に感謝しております。チームの運営スタイルであったり、発言であったり、本当に私の尊敬する監督の一人です。
僕が金監督とここまでいろんな話をし、彼が決断した中でクラブとしても決断するひとつの言葉として、本当に「勝ちにこだわる」というのは、金監督のすごい要素の1つです。相手コートで時間を使って攻撃するというところは、私どもは最小得点でございますので、そこは期待するところなんですけれども、あの「リスペクトの気持ちを死ぬまで心に刻んだ」ということを、実は研修プログラムに参加した方々から聞いております。
これは一体感を持つという意味でも、やはり人と人を尊重し合う気持ちが、勝ちにもしかしたら勝るものがそこにあると思うんですけれども、そういうものをこの数年間で新たに金監督の中にそれが培われ、それがあって、今年、去年のチームの皆さん、選手たちが金さんの指導、然るべき指導があったからこそ、黒田監督はおりますけれども、そういうリスペクトがあったからこそ、それぞれの選手との関係性、クラブとの関係性、ファンサポーターとの関係性が築かれている。それで、今回、本当に町田さんのサポーターの方々は送り出すようなコメントを非常に私も目にしておりますけれども。そういったものも、過去間違いは犯しましたけれども、この3年間で金さんが体現していることの1つなのかなというふうに思っております。ただ、これでいいということではないと思いますので、そういうことも含めて、人をリスペクトする気持ちを持って、チームを一体感を持って、攻撃的なチームで得点をして勝つというのが、福岡の皆さんに受け入れられるスポーツとして、そうすることによって観客動員であったり、今回もいろんな形で注目を集めましたけれども、一般のあまり関心がない方にも、新監督が注目を浴びたというのは、認知されていると思います。きっと、そういうチーム、クラブ、監督が、来シーズンどういう風にいいニュースを、世に届けていくことができるかで、「ちょっと見に行ってみようか」というようなものにつながることになればいいなと思っています。
クラブとしても、強化部としても、金さんもかなりの心づもりで来ていると思いますので、そうなるように、年が明けて新体制発表会の時には、選手も一緒に、コーチ陣も一緒に壇上に上がって、「今シーズン、このチームで行くぞ!」という空気感をクラブとしても作って、それをシーズン1年間しっかりやっていきたいなと思っております。それで感動と勝ちにこだわり、観客動員に関してもプラスにさらに転じていけばいいなと考えております。
Q.シーズンを戦う上で戦術や戦略というのはその状況によって変わってくるかと思うんですけど、でもシーズンを通して変えたくない軸みたいなものがもし頭の中にあるのであれば教えてください。
<金監督>
やはりアビスパ福岡が昨シーズンにタイトルを取ったというところは、僕もすごくリスペクトしています。この強固な守備というところが、基本的にはアビスパの強みだと今は考えております。
当然、メンバーは変わるので、そういったものをすべてそのまま受け継ぐことはできないんですが、その基本的な守備のベースというところはしっかり残したいなと思っています。
Q.長谷部さんにシーズン終わりに話を聞いた時に、得点力向上は結果が出なかったのはちょっと守備に意識が行きすぎたかなというのがあるとおっしゃっていたんですけど、そこの「固く守りながら攻撃に枚数を割く」という意識づけが鍵になるところでしょうか?
<金監督>
本当に守備の仕方もいろいろあると思うんですよ。自陣に引いてしっかり守る、あるいは相手コートでしっかりとプレッシャーをかけて守る。僕は前者より後者の方向で進めていきたいと考えております。もちろんボールがひっくり返ったらしっかりと自陣で守ることも大事なんですが、なるべくは、さっきも話したように、相手コートでプレッシャーをかけていきたいなと考えております。
Q.今、Jリーグの公式サイトでも各チームのデータとか個人の選手のデータが見られるようになっていますけど、このアビスパで新しいチーム作りをする上で、金監督はどこのデータを重視するのでしょうか?
<金監督>
やはりチームがスタイルを変えることでバランスを崩してしまうチームというのは今までもたくさんあったと思うんですよ。その辺は僕自身も把握しているというか、しっかりと認識しています。ただ、僕がここで命を受けてやらせてもらうというところは、先ほどおっしゃった攻撃の回数、シュートの回数、ゴールの回数、そういったものを増加させるということはチームとしても共有しています。
ですので、そこの部分は自分自身も持っていけるという自信もありますし、当然アビスパの選手たちにそのポテンシャルがないわけではないと僕も感じています。先ほどおっしゃったように、攻撃に数をかけると守備でバランスを崩したり、守備が疎かになるのではないかという部分も当然存在するので、そういったところも蓋を開けてみて、どれだけできるのかというバランスをしっかりと見極めながら、より一番勝利できる可能性を見出したいと考えております。
Q.アビスパ福岡というチーム、クラブはもう次のステージに進んでいる。町田で上位、J2、J1でも優勝争いをされたというところで、この上位進出を果たすためのヒントみたいなものが何か頭の中にありますか?
<金監督>
やはり相手をよく見ることですかね。相手への対策も含めて、自分たちのやるべきことに特化して、相手を気にせずできたらそれはそれで一番いいんですけども、やはりスカウティングはすごく大事なファクターになってくるのかなと。相手の特徴、ストロング、やはりその特異性、そういったものをしっかりと見極めて、やっぱり相手のやりたいことをやらせないで、自分たちのやりたいことをやるというところが基本的に僕のスタイルではあるので、その部分で町田には少し貢献できたなというふうには思います。
strong> Q.チームから期待されている「前監督の守備をベースに、より攻撃的に」というところ、簡単ではない、難しいミッションの一つになると思うが、、そういった期待をクラブから聞いた時に率直に監督自身がどう感じられたのか、またそれを成し遂げる自信みたいなところをお聞か
せください。
<金監督>
先ほどもたくさん話しましたが、アビスパ福岡は今シーズンも得点数は少ないまでも、しっかりと中位でフィニッシュしているので、昨年から引き続きしっかりとしたポテンシャル、力はチームとしてあると考えています。
ただ、そのチームの戦うスタイルがしっかりと構築された中で、それをまるまるひっくり返して違うことをやるわけではないので、当然その中でしっかりと選手の特性、既存の選手と新加入選手の特性、バランス、そういったものをしっかりと合わせ、掛け合わせながらより良いものを作っていけたらと思っています。
言葉で言うのは簡単ですが、Jリーグでしっかりと得点数を増やして理想的に攻撃的にやるというのも、どのチームも多分抱えている課題だと思うんですよ。ただ、それがうまくいっていないチームが過半数なので、そこも含めて新たなトライになると思うんですけれども、今のアビスパ福岡の選手、既存の選手含め、新加入選手、リリースされた選手含め、十分なポテンシャルを持っているので、そういったことができる、表現できるとは僕自身考えております。
※記者会見のコメントを極力忠実に要約いたしましたが、一部の話し言葉を読みやすい表現にしております。
■その他クラブに寄せられた質問
Q.今回の一件でサポーターが分断されたというSNSが一部見られますがどうお考えですか。
A.今回の人事は、いくつかの選考ポイントや選択肢がある中で、クラブの基本理念を軸として、フットボールのさらなる強化、勝利の観点で選考プロセスを踏んで決定いたしました。反対の方々にもご理解をいただけるよう取り組んでまいります。
Q.Jリーグの調査報告書に記載のある加害行為や、被害者に対しての謝罪や補償に類する対応はしていないのですか。ハラスメント被害者が今回の決定をどのように受け止めると考えますか。謝罪したとするクラブはどのクラブで、その謝罪には新監督による謝罪等の意思が含まれているものなのですか。
A.過去の問題については、決して容認できる行為ではございませんが、弊クラブより回答を申し上げることは控えさせていただきます。詳細はJリーグやJFA等で公開されました情報でご確認をいただけますと幸いです。
Q.Xの公式アカウントからフォロー解除されました。それは新監督就任の報道の後、クラブへの不信をつぶやいたことに起因して、これまでの不満を絡めた表現を行った事が理由だと考えています。それがクラブのブランドイメージを損なうという考えだったのでしょうか。
A.そのような理由ではございません。現在SNSの運用見直しを行っておりますが、事前に十分なアナウンスがなく、また段階的に進めているため誤解を与えてしまいました。今後は方針をお知らせのうえ実施いたします。
Q.新監督就任で商品が購入した時よりだいぶ違うものになります。取消返金対応はされないのでしょうか。(個人パス・DAZN・ファンクラブ・ユニフォーム等)
A.申し訳ございません。ご購入いただいたそれぞれの商品は取消返金の対応は出来かねますので、ご理解をいただきたいと思います。
Q.社長からの説明はないのですか。
A.業務執行責任者は社長ですが、監督人事は取締役会事項となりますので、代表取締役である会長職の川森にて記者会見で説明させていただきました。
Q.クラブの今後のビジョンや目標について教えてください。
A.ロードマップのステップ2、J1中位から上位定着、カップ戦優勝争い、タイトル奪取を目指しています。目標はロードマップステップ3に記載しておりますACLE出場、そして優勝を目指してまいります。
※その他のご質問等は、記者会見での質疑応答にてご確認をお願い申し上げます。なお、Questionの言葉を一部丁寧語にいたしました。